進化学や比較解剖学、解剖学は実に沢山の書物が出版されています。しかし、細かい記載はあるものの基本的な問題は疑問が一杯です。教科書も整然と記述されていますが、一皮むけば矛盾や疑問で充ち満ちています。ここではまず私が感じている疑問のいくつかを紹介し、研究の一端を紹介をするとともに、比較解剖学の解説を加えていきたいと思います。そしてできれば皆様のご意見をいただき議論ができればまことに有り難いと考えています。
マンモスの臼歯 |
私がこれまで行ってきた研究のはじまりは、師匠の故井尻正二氏から与えられた「世界的でかつ世界的」なテーマである長鼻類(ゾウ:世界的に知られ世界の誰もが研究しやすい)と「日本的でかつ世界的」なテーマ(世界的に知られているが日本を中心に分布するため、日本が研究しやすく、日本が特殊性をもちうる)」束柱類(デスモスティルス)の特殊な歯の進化でした。しかし、仕事を進めるうちに比較の対象となる他の動物の研究が少ないため、哺乳類を中心に比較解剖学的な研究を進めた、というものです。この中で、山ほどある歯の研究成果なのですが、教科書に書かれていることが一面的でしかないのを思い知らされました。それを誰も疑問に感じない、あるいは気がついているが研究をしない、のは不思議です。しかし、学説を提唱した当事者が、今はあまり読まれていない古い文献ですが、その中にすでにこのことに気がついていたことを知り、何度かホットしました。そのような訳でここに述べられている疑問と歯の形態学は主に私の研究から引き出したものです。
インドゾウの臼歯歯胚 |
もうひとつ見落としがちなのは、歯は歯だけを研究していても理解できるものではないと言うことです。歯の研究を進めるうちに、体から歯を、地球から体を、宇宙から地球を観なければ歯は理解できないことが分かってきました。このような点を含めて解剖学にまとめてみました。
しかしまだまだ議論が不足しています。そこで、できたら直に一緒に議論をしていただける機会を作ろうと思い立ち「触(ふ)れて観(み)て考えよう 訪問研究室」を企画しました。これは私がこれまで行ってきた、いまも行っている仕事の試資料を皆様にじかに触れていただき、一緒に観て議論し考えようというものです。触れて感じるのは子供の方が鋭いことを多々経験します、ですから年齢に関係なくどなたでも結構です、ぜひ声をかけて下さい。小、中学生の夏休みの宿題、高校生や大学生の自由課題、社会人の方の教養講座としても気楽に触れていただけるものです。
さて、研究内容は私の仕事を中心に紹介しますが、研究には師と友が欠かすことができません。「師と友と」には勉強と研究に欠かすことのできない方々、お世話になった方々を感謝を込めて紹介させて頂きます。
「雑感」では研究や教育などで感じてきた諸事の感想と主張を述べます。
繰り返しますが、感想なり議論なり、ご一報いただけることを期待いたします。
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