子供には自然が必要だ! 

―自然の無限の刺激、これを受ける子供の体の無限の可能性―

 幼児教育で大切だといわれる「自然での遊び」、大人になれば「自然で癒やされる」の「自然」、これにたいする「体」を考えてみます。

 自然は、山や川が昔のままで残された空間、というのがだいたいの考えでしょう。しかし、日本に原生林がないように、社会が進むと環境に働きかけ自然は変わります、これも自然なことなのです。自然は歴史の流れに沿って変わるのです。では自然とは何なのでしょう。

 結論から言えば、自然はそれぞれの立場によって違った意味を持つということです。こどもの時代の自然は、「予測性のない無限の刺激」を与えてくれる環境なのです。これは野や山、川でなければ与えてくれません。大人の疲れを癒す自然は、無限の刺激によるバランスのとれた環境です。だからバランスのとれた自然で心がバランスをとりもどし癒やされるのです。

 コンピューターで無限の予測性のない刺激がつくれるでしょうか?現状では「膨大」と言う表現はできても、人間の考える範囲内にあります。つまり、無限でなく、当然予測ができます。自然は、台風進路予測のようにコンユーターを駆逐しても正確な予測はできません。

 子供には(考えうながす)予測性のない無限の刺激が必要なのです、一方で無限の刺激を子供が受け止められるのでしょうか?

 これはこどもの体からみる必要があります。人間はだいたい3歳までに体の基本的な構造ができます。つまり神経や筋肉等の基本的な構成や配置が決まるのです。しかし、配置が決まってもそれらが連係して体全体で働かないと、完成とはいえません。

まず体の外の刺激は、全身に分布する感覚細胞によってキャッチされます。例えば、光なら網膜の細胞です。感覚細胞は、刺激を電気刺激にして神経細胞に伝えます。この刺激を伝える細胞間の装置を「シナプス」といいます。シナプスは神経細胞相互、神経細胞と筋細胞など他の細胞との間にもあります。シナプスによらない細胞同士の連絡装置、例えば、ギャップなどもあります。要は、全身のすべての細胞に細胞相互の伝達機構があり、体の全細胞が連携するのです。これによって体が連携し一つとなって働くのです。もう一つ大切なことは、この連絡装置は刺激が入ってきて初めて完成するという点です。

つまり、第一点には、刺激を受ける子供の体のシナプスは刺激が入ってきて初めて働き、一過性で消え、次の刺激で速やかに再形成されるのです。これは、3歳くらいの幼児の、刺激にたいする体の側のトレーニングということになります。

第二点は、子供の体には刺激を受けとる無限の装置が用意されている、ことです。感覚細胞は体中で兆単位あると推定されています。それだけではなく、体は刺激に対して体全体の細胞で協調して対応するのです。これは体内細胞の感覚「系」といわれています。つまり体の全細胞数は、60兆とも40兆個とも言われるので、これが様々に組み合わさり、連携して無限の刺激の受け皿となり、無限の刺激に対応出来るのです。

自然の「予測できない無限の刺激」は、健全な体を育くむ原点なのです。