試験問題

 この頃の試験は網羅するという意見の元に考える問題が少なくなった。しかもわずか60分ぐらいで網羅的に出すとなると選択肢で易しい問題なのである。そこでささやかな抵抗として記述式の問題を出してみた。同僚の教員からは難しいとの批判がある。また父母から(学生からではない)は、興味本位だ、クイズ番組の問題だ等々の批判にあった。この様な意見は学生の能力発達への加害者というものだろう。

  学生が、「私の答案用紙を見せてください」 「大切なところはどこですか?」 「覚えるのはどこでしょう?」などと聞きに来るのを見ると、上に書いたような親に子供の時から如何に能力を刈り取られて来たかを窺うみる思いである。さて、少ない試験時間で学生のこのような状況から救う方法、つまり問題を考えたご批判いただければ幸甚である。

 試験のポイント 筆記試験については4つの分野について問題を作っています。

試験時間は出来るだけ長く(出来れば120分位)、論述式で、回答は一つではない、ということを旨としています。。 

1 暗記問題

2 現象に対する理由問題 

3 様々な現象を立証する問題

4 図形問題

 

試験問題の例です。(私見ですが、学生の状況にかなり妥協していると思いま。)

立証問題あるいは理由を述べる問題

次の課題を証明方法または組織発生学的理由を簡略に記述しなさい。

1長骨の長軸の伸長は骨端板(骨端軟骨)で行われている。

2 エナメル質は象牙質よりも無機基質が多く含まれている。

3 手足が長く成長することを骨の成長から説明したい。

4 卵巣を一つ摘出したが月経は正常の周期で行われている。

5 縮毛(ちぢれげ)。

6 老化すると鼻毛や耳毛が長くなる。

7 HE染色をすると白脾髄が濃い青で染色される。

8 皺の原因。

9 角膜は移植しやすい。

10 黒子。

11 頭部を解剖学的に定義して下さい。

12 中枢神経において左右の神経線維が交差するのは何故か。

13 体の中で頭部だけは知覚神経節が顔面側(腹側)にあるのは何故か。

14 迷走神経は(骨盤内臓を除く)腹部内臓まで分布する。何故か。

15 移植に於いて知覚は回復しやすい。理由を考察せよ。 

16 11から15をもとにしてどのような体の法則が導かれるか。

17 摂食指導に上唇を使う(食べ物に触れさせる)と効果的だとか、パタカラは鼾や嚥下の改善に効果があると言います。その理由を1−5と発生から導いて下さい。

18 消化管では鰓弓だけが体幹と同様の骨格(筋、神経、血管)構造を持つのは何故か。

19 我々の歯が第一鰓弓(顎骨弓)に局限するのは何故か。

20 ヤツメウナギの角質歯は我々の歯の先祖である。どのような形質が先祖的なのか。

21 上顎と下顎の歯の形態が異なるのは何故か。

22 歯冠と歯根の浮彫像は対応するか。

23 すべての歯の浮彫像は対応するか。

24 歯の外形と組織構造は対応するか。