くりっペ ー下仁田自然学校だよりー 45号(2009年2月20日発行)
みんなの広場 より
いつも、いつも「くりっぺ」をお送りいただき有り難うございます。
教育には素人の私ですが、「くりっぺ」を読ませていただき、毎日接している学生をみて感じることがあります。というのは、学生の視野が狭くなり、隣を見ない(見えない)、感情を抑えられない、社会のルールとは言うほどでもない礼儀作法も(!)できない人々が増えています。これは教員も同じなのですが・・・・・。
そこで「いま、学生に何が足りないか」を神経解剖学的に分析しています。結論は、子供時代に自然の中で遊んでこないために神経の回路が十分に発達していない、とうものです。神経については「記憶には脳の海馬が重要だ」などなど、特に大脳についてはごくご存じと思います。そして脳の研究が巷間にあふれています。もちろんこれは重要なのですが、私の注目しているのは末梢神経といわれる体の隅々に配線されている神経です。この神経のほとんどは体の表面の神経終末装置という感覚細胞とつながっています。感覚細胞は体の外からの様々な刺激を受け取るところです。このつながりが完成しないと体の外からの刺激を体の中へ受け取ることができません。大切な点は、この感覚細胞と神経の接着が体の外からの刺激によって完成する、ということです。
体の外からの刺激は無数にあります、ですから感覚細胞は非常に多種多様です。そして自然からの予想を超えた様々な刺激が感覚細胞と神経の接着が多様に発達するために大切なのです。重要なことは、これが子供時代に脳の発育と連動する、という点です。繰り返しますが自然の刺激は実に多種多様で無制限です、受験勉強やパソコンゲーム(人間が想定した限定した範囲の問題)の比ではありません。自然は予期でき無い刺激で溢れています。自然と遊んでこなかった子の多くは、刺激受容装置の未発達、結果として変化を受け入れることが出来ない大人になってしまいます。そして、一定の刺激だけに反応するために感情に流されやすく考える力が失われるようです。
こうしていま、やっと、学生の問題の幾つかの現象を整理することが出来てきました。しかし、残念ながら最大の問題である、子供時代に損なわれたものを学生になってからどのようにすれば回復できるか、次の一手、解決の展望がまだ見えてきません。
だからこそ、下仁田自然学校の活動が健全な骨太の子供をつくるために非常に大切である、と考えています。そして、「ゆとり教育」から撤退するのではなく、その一環に下仁田自然学校の取り組みを取り入れて欲しいな、と願っている次第です。
教育には素人の雑言ですが、頑張ってください、非力ですが期待している人間がここにも一人居ります。 (一部訂正)